その塔は、この世界の最果てと呼ばれる場所に建っていた。
石造りの円塔には、黒ずんだ蔦が余すところなく絡まり、まるで巨大な怪物のような様相をなしていた。数えきれないほどのコウモリが塔の周りをキイキイと飛び交い、不気味さを助長させている。
塔の周囲は、空を突き刺す槍のような鉄柵に覆われている。雑草の生い茂る敷地内には、ところどころに朽ちた墓標が建っていた。
柵のすぐ向こうは、切り立った断崖絶壁だ。真下では、闇色の波がザバンザバンと水しぶきを上げている。年中曇りのこの地域には、光が射すことも、青空が広がることもないらしい。
この塔に幽閉された重罪人は、日の光の乏しい劣悪な環境に精神を病み、一年もたたずして死に至ると噂されている。“悪魔の塔”と呼ばれるようになったのは、そのためだ。
「な、なんて恐ろしい見た目なのでしょう……」
ガクガクと身体を震えさせているララの隣で、アンジェリ―ナは輝くような眼差しで塔を見上げた。
「ああ、なんて理想の終の棲家なの……」
窓が極端に少ないうえに、おどろおどろしい外見のせいで人も近寄って来なさそうだ。
石造りの円塔には、黒ずんだ蔦が余すところなく絡まり、まるで巨大な怪物のような様相をなしていた。数えきれないほどのコウモリが塔の周りをキイキイと飛び交い、不気味さを助長させている。
塔の周囲は、空を突き刺す槍のような鉄柵に覆われている。雑草の生い茂る敷地内には、ところどころに朽ちた墓標が建っていた。
柵のすぐ向こうは、切り立った断崖絶壁だ。真下では、闇色の波がザバンザバンと水しぶきを上げている。年中曇りのこの地域には、光が射すことも、青空が広がることもないらしい。
この塔に幽閉された重罪人は、日の光の乏しい劣悪な環境に精神を病み、一年もたたずして死に至ると噂されている。“悪魔の塔”と呼ばれるようになったのは、そのためだ。
「な、なんて恐ろしい見た目なのでしょう……」
ガクガクと身体を震えさせているララの隣で、アンジェリ―ナは輝くような眼差しで塔を見上げた。
「ああ、なんて理想の終の棲家なの……」
窓が極端に少ないうえに、おどろおどろしい外見のせいで人も近寄って来なさそうだ。