ビクターのことは、アンジェリーナも好きだ。だがネクラ趣味を満喫するまでは、城に戻るつもりはない。ここで諦めたら、一生後悔するに決まってる。

 “悪魔の塔”に戻ったら、すぐにでもリストを確認しなきゃ、とアンジェリーナは考える。

 スクイーズの次は、何に取りかかろう?

 やりたいネクラ趣味は、まだ山ほど残っているのだ。

 アンジェリーナはうきうきしながら、窓の外の空を見上げた。

 最果ての地のおどろおどろしい曇り空にもうすぐ会えると思うと、心が弾んで仕方ない。

 そして彼女は、“悪魔の塔”の薄闇と湿っぽくかび臭い空気を思い出し、ひとり酔いしれたのだった。



END.