アンジェリーナにとっては悲しいことだったが、エリーゼは城を追い出され、生まれ育った村へと強制送還させられた。
スチュアートは次期国王の座を剥奪され、第二王子へと降格させられた。王宮内で横柄に振る舞っていたのが嘘のように、今では彼は身を小さくして暮らしている。
そして、ビクターの王太子としての毎日が、王宮内で始まった。婚約者であるアンジェリーナも、当然のごとく城に住処を移すこととなる。
今宵は、ビクターの立太子式がアッサラーン城で開かれる運びとなっていた。
ローズレッドの艶やかな髪を頭上に結い上げ、フリルのふんだんにあしらわれた淑やかなオフホワイトのドレスに身を包んだアンジェリーナは、鏡の中の自分をしげしげと眺めた。
「なんだか、私じゃないみたいだわ」
いつも紫だとか、赤だとか、濃いめのドレスばかり着ていたので、穢れのない純白には違和感があった。ビクターへの想いを認めてからというもの、勝気だった表情も和らいできた気がする。
「とーってもお似合いですよ! こういう恰好、意外とアンジェリーナ様に似合うと思ってたんですよね! もう二度と、ジャージとかいうへんてこなお召し物は着ないでくださいね!」
アンジェリーナの髪を結い、ドレスを着つけてくれたララは、終始ご機嫌だった。
ララの望み通り、アンジェリーナの無実が明るみになり、王太子となるビクターの婚約者におさまってからというもの、ララは絶えず鼻歌を歌っているほど上機嫌だ。
そこで、ドアをノックする音がした。
入ってきたのは、ビクターだ。立太子式へとともに向かうため、アンジェリーナを迎えに来たようだ。
金模様の施された濃紺の上着に、白のトラウザーズを身に付けたビクターは、こうしてみれば気品がにじみ出ていて王族の血を感じさせた。
宝石のような碧眼が威力を放つ整った顔立ちと、スラリとした立ち姿には、しばらくの間時を忘れて見惚れてしまいそうになる。
スチュアートは次期国王の座を剥奪され、第二王子へと降格させられた。王宮内で横柄に振る舞っていたのが嘘のように、今では彼は身を小さくして暮らしている。
そして、ビクターの王太子としての毎日が、王宮内で始まった。婚約者であるアンジェリーナも、当然のごとく城に住処を移すこととなる。
今宵は、ビクターの立太子式がアッサラーン城で開かれる運びとなっていた。
ローズレッドの艶やかな髪を頭上に結い上げ、フリルのふんだんにあしらわれた淑やかなオフホワイトのドレスに身を包んだアンジェリーナは、鏡の中の自分をしげしげと眺めた。
「なんだか、私じゃないみたいだわ」
いつも紫だとか、赤だとか、濃いめのドレスばかり着ていたので、穢れのない純白には違和感があった。ビクターへの想いを認めてからというもの、勝気だった表情も和らいできた気がする。
「とーってもお似合いですよ! こういう恰好、意外とアンジェリーナ様に似合うと思ってたんですよね! もう二度と、ジャージとかいうへんてこなお召し物は着ないでくださいね!」
アンジェリーナの髪を結い、ドレスを着つけてくれたララは、終始ご機嫌だった。
ララの望み通り、アンジェリーナの無実が明るみになり、王太子となるビクターの婚約者におさまってからというもの、ララは絶えず鼻歌を歌っているほど上機嫌だ。
そこで、ドアをノックする音がした。
入ってきたのは、ビクターだ。立太子式へとともに向かうため、アンジェリーナを迎えに来たようだ。
金模様の施された濃紺の上着に、白のトラウザーズを身に付けたビクターは、こうしてみれば気品がにじみ出ていて王族の血を感じさせた。
宝石のような碧眼が威力を放つ整った顔立ちと、スラリとした立ち姿には、しばらくの間時を忘れて見惚れてしまいそうになる。