階段を下りた時
 リビングのドアの前で
 父さんと母さんが俺を見つめていた。



 涙が止まらない。



 こんな姿
 父さんと母さんに見られたくない。


 でも……


 最後にきちんと伝えたい。




 俺は二人の前に行き
 涙をぬぐいながら
 必死に笑顔を作った。


「ずっと良い子でいられなくて
 ごめんなさい。

 今まで育ててくれて
 ありがとうございました」



 母さんたちに笑顔を向けたのは
 いつ以来だろう。


 俺が微笑んだことに
 二人は目を見開いて驚いている。


 俺は二人に背を向けると
 玄関の方に歩き出した。


 その時。