小1になって
俺はいつものように学校から帰った。
そしたら
仕事に行っているはずの母さんが家にいて
俺に言ったんだ。
『ちょっと、出かけてくるね』って。
買い物かと思った。
すぐに帰ってきてくれると思って
疑わなかった。
それなのに……
夜になっても
次の朝が来ても
その次の朝になっても
母さんは帰ってこなかった。
俺が学校に来ないのを心配して
担任の先生が家に来て
あれよあれよという間に
俺はあの家に引き取られることになった。
母さんの実の兄と奥さん
そして俺より4つ上のお姉さん。
この家に来た時に言われたんだ。
「十環くんが良い子にしていれば
お母さんが迎えに来てくれるよ」って。
「でもこれからは私たちのこと
『お父さん』『お母さん』って呼んでね」
って。