「十環?」


 俺が黙り込んだのを見て
 一颯が心配そうに声をかけた。


「俺と一緒にいても
 つまんないって思った?」


「……そういうわけじゃ

 ……ないけど……」


「俺は思ったけどな。

 十環と一緒に高校行けたら
 楽しいだろうなってさ」


 優しい瞳で
 遠くを見つめる一颯の横顔。


 その顔を見ると
 胸がつぶされたみたいに痛い。


 そして痛感する。



 俺も本当は望んでいるんだって。

 一颯と一緒の高校生活を。


 俺は
 明虹学園に行くことができない一番の理由を
 一颯に話すことにした。