本日2回目の一颯の部屋。


 明虹学園の制服を脱ぎ
 俺は自分の服に着替えた。


 そして、ローテーブルをはさんで
 俺たちは向かい合って座った。


「十環、どうだった?

 ちょっとは楽しかった?」


「……まあね」


「じゃあさ、一緒に入ろうぜ。 
 明虹学園にさ」


「それは……

 ムリ」


「は? 
 
 なんでだよ。

 十環だってもう一度会いたいんだろ? 
 結愛さんに」


 一颯の言葉に
 眠り姫とのドキドキの時間を思い出す。



 会いたい。

 もう一度会いたい。 

 結愛さんに。



 それだけじゃない。


 一颯と学園内を歩いたのが
 予想以上に楽しかった。


 一颯が一緒なら
 高校に行くのも楽しいかもなって
 素直に思った。


 でも…… 

 俺は……


 もし明虹学園に入ってしまったら
 捨てなければならない。


 俺の唯一
 心を許せる居場所を。