明虹学園の見学を終え
 着替えるために俺はまた
 一颯の家に戻ってきた。


「お邪魔します……」


「ちょっと!! 

 やめてよ!!」


 俺が一颯の家の玄関を上がった時
 奥の部屋で
 女の子の叫び声が。


「ったく……

 何やってんだよ、あいつは」


 一颯はそうつぶやくと
 スタスタと廊下を歩いて
 ドアを開けた。


 俺も一颯について
 リビングに入ると……


 意味不明な光景に
 俺の体が固まってしまった。


 一颯の妹の
 六花ちゃんの足をつかんで
 スーツの男性が床に寝そべっている。



「親父……

 六花の奴、困ってんじゃん。

 今度は、何をさせようとしてんの?」


「い~ぶ~き!!
 聞いてくれよ!!

 りっちゃんに
 この服を着てってお願いしてるのに
 着てくれないんだよ~~!!」


 真っ白なワンピースを手に
 六花ちゃんにしがみついている
 40歳くらいの男の人。


 どうやら
 一颯の父親らしい。


 未だに
 床に寝そべったまま足をバタバタさせ
 六花ちゃんの足を離さない。