結愛さんにもらった
 キャラメルと同じ色?


 一颯が奇抜な色を言ってきたら
 文句を言ってやろうと思ったのに。


 俺が一番欲しかった言葉をくれた一颯に
 また少し
 心を許してしまう自分がいる。


「一颯……

 本当に思ってる?

 キャラメル色の髪が俺に似合うって……」


「は? 
 俺のオシャレセンス疑ってんのかよ。

 ちょっとは俺のこと、信じろって。

 十環ってさ
 俺と違って雰囲気が柔らかいじゃん。

 今のブルーハワイ色も
 すっげー似合ってると思うけど。

 このキャラメル色の方が
 優しい雰囲気増すし
 絶対に良いと思う」


 俺のこの水色の髪。


 中学の奴らが俺に近寄らないように
 あえて奇抜で
 冷たい色を選らんだ。


 でも今は
 人を寄せ付けない髪色を
 変えたいと思ってしまう。

 結愛さんが
 俺に近づいてくれるように。
 

「俺が行ってる美容院紹介してやろうか?

 スプリングって言うんだけど
 スタイリストの礼音(れおん)さんって
 奥さん大好きっぷりが半端なくて
 男としてすっげーかっこよくてさ。

 十環の恋愛相談も
 のってくれると思うよ」


「だから別に
 結愛さんのこと好きになったとか
 そんなんじゃないからさ」


「ふ~ん。 ま、いいけど」


 一颯の顔を見ると
「誰かに惚れたってバレバレですけど」
 って言っているかのように
 ニヤニヤしている。


「でも……

 行ってみようかな……

 礼音さんって人がいる美容院に」


「あの人なら、今よりさらに
 お前のことカッコよくしてくれるからさ。

 このキャラメル持っていって
 この色に染めてもらえ」


「……うん」


 俺ってこんなに
 友達に素直になれるんだっけ?って
 自分で自分にビックリした。


 でも……


 一颯といると
 つい素の自分でいたいと
 思ってしまう自分がいる。


 この心地いい空気を感じながら
 俺は、オムライスを頬張った。