促されるまま
 一颯の部屋に入って初めに思ったこと。


『一颯って……

 本気でオシャレが好きなんだな』


 同じ中3なのに
 俺の部屋と違いすぎて言葉が出ない。


 壁には、帽子やアクセサリー
 ベルトやバックなどが
 これでもかというほど掛けてある。


 他の壁を見ると
 ファッション雑誌の切り抜きが
 壁一面に貼られているし。


 本棚にはびっしりと
 ファッション雑誌が並べられていて
 受験生だって思える場所は
 勉強机の上だけ。


「一颯……

 受験勉強してきたって言ってたよね?」


「へ? すっげー勉強してたけど」


「部屋中
 オシャレ関連の物で囲まれているけど……」


「ああ
 明虹学園はオシャレも受験に必須なの。

 私服で面接に
 行かなきゃいけなかったんだけど
 その時にファッションセンスも
 チェックされるっていうんだから
 恐ろしいよな。

 勉強もちゃんとしてきたよ。

 俺、言ったじゃん。

 明虹学園の筆記テスト
 トップだったって」


 確かに言っていたけど。

 この部屋を見たら信じられない。


 俺がもう一度
 部屋をぐるっと見回していると
 一颯がクローゼットから何かを取り出した。


 ん?

 制服??


「十環、これに着替えて」


「は?」


「今から、これ着て、
 明虹学園に潜入するから」


 はぁぁぁぁぁ???