「着いた。 

 ここな、俺の家」


 促されるままに
 俺は一颯の家の玄関ドアをくぐった。


「お邪魔します」


 俺が靴を脱いで家に上がると
 大きなかごを抱えた女の子が
 ドアから出てきた。


 この子が……

 一颯の妹の六花ちゃん??


 小柄で色白で
 目が真ん丸で。


 真っ赤なワンピースを着ていた。


 確かに……
 かわいい……


 六花ちゃんは俺に気づくと
 うつむきながらボソリと言った。


「こ……こんにちは」


 そして微笑むことなく
 逃げるように隣の部屋に入っていった。


「今のが……」


「ああ。 妹の六花。

 言った通り
 変わってるだろ?」


「なんか……

 童話に出てくるお姫様みたいな子だね」


「へ?」


 一颯は目をぱちぱちさせて
 俺を見ている。


「白雪姫?」


「どっちかっと言うと
 シンデレラの方かな?」

 
 『意味不明』って
 顔に書いてある一颯に向かって
 俺は説明してあげた。