約束の10分前に到着。


 バスを降りようとすると、
 目の前にニコニコ微笑む
 一颯が立っていた。


「よかった~。 十環が来てくれて」


「……来るの早いね」


「え? 

 だってさ。
 十環の方が先についたけど
 俺がいないから帰るってなったら嫌じゃん」


「それで……今からどうするの?」


「まずは俺の家な。
 ここから、けっこう近いから」


 え? 

 一颯の家?

 
 ちょ……ちょっと……


 人の家に上がるなんて
 緊張するんだけど……


 だって俺……
 友達の家に遊びに行ったことなんて……
 1度もないから。


 不安がモクモク膨らんでいる俺に
 全く気付かない一颯。


 スタスタと迷いなく歩き出した。


「あ、そうそう
 俺の家につく前に十環に言っておかないと。

 六花の奴
 ちょっと変わってるから。」


「え?」