は…… 反則です。



 弱っているウサギのように
 ウルウルな瞳で見つめてきたのに
 いきなり俺に心を許してくれたように
 喜ばれたら
 俺、勘違いしちゃうし。


 結愛さんが俺のこと
 好きだって。



 高嶺の花の結愛さんを
 諦めなきゃと心の片隅で思っているのに
 もう出会う前の俺には戻れない。


 結愛さんのことが
 好きになりすぎて。


 どんな顔をして結愛さんを見つめればいいか
 わからずうつむいていると
 結愛さんの甘い声が耳に届いた。


「すごく似合ってるね。 

 十環くんの髪色」


「え?」


「私の大好きなキャラメル色。 

 私の髪とおそろいだね。」



 ……ダメだ。



 天使みたいな透き通った瞳で
 そんなことを言われたら……


 もう好きって思いが
 止めれれなくなってしまう……



 俺の髪色のことを言ったって
 わかっているのに。


 『大好き』って言葉が
 含まれていただけで
 俺の心臓が高速連打並みに
 飛び跳ねている。


 そんな俺に気付かない結愛さんは
 少し表情を陰らせ、言葉を続けた。