「なに、その
 すっげー羨ましいシチュエーション!!

 俺が六花からキャラメルもらって
 階段に呼び出されたら……

 想像するだけで
 テンション上がるし!!」


 一颯って
 他人のコイバナ聞くの
 好きなタイプ?


 意外なんだけど。



「十環、今すぐ教室に戻るぞ」


「え? 

 一颯、なんで?」


「俺が
 お前の髪をセットしてやる」


「いいよ! 

 このままで……」


「は? 

 ダメに決まってんだろ?

 そんなやる気のない髪で
 結愛さんに会いに行くつもりかよ?

 ヘアワックスを軽くつけるだけだから。

 今よりちょっとだけ
 お前のことカッコよくしてやる」


「帰りまでに崩れるしさ」


「俺が帰る前に
 もう一度セットしてやるから。

 早く、教室戻るぞ」


「……わかったよ」



 一颯は『これが良い』と思ったら
 何を言っても無駄みたいだ。


 でも
 俺のことを思ってくれているのが
 伝わってきて
 一颯に任せてみようって素直に思えた。