「俺は、明虹学園の学園長から……」
「またあの高校の勧誘ですか?
俺、行かないって言いましたよね」
「勧誘っていうか……」
「この寒い中
露出しまくりで
フェロモンを振りまくお姉さんに
昨日まで付きまとわれていましたけど。
今度は芸能人か何かですか?」
「へ?」
「俺、
芸能人を見てもなんとも思いませんよ。
テレビなんて見ないから
あなたのことも知りません。
お引き取りください」
あの、美魔女学園長……
秘書を使って
桃瀬を説得しているって言っていたが
こいつにフェロモン漂う美女をあてがっても
意味ないって
1回目で気づけよ!!
とりあえず、誤解は解かないと。
「桃瀬くん、待って 待って。
俺、芸能人とかじゃなくて
桃瀬くんと同じ中3。
話だけで良いから
ちょっと聞いてくれない?」
「どうせ
明虹学園に入れってことですよね。
それなら何度もお断りしています。
俺は、絶対に入る気ないって」
ニコッと笑えば
女の子がキュン倒しちゃうくらい、
王子様みたいな綺麗な顔をしているのに。
目の前の桃瀬は
俺を1ミリも
自分の心に近づけないように
鋭い瞳でバリアを張り巡らしている。
こんな頑なに
『明虹学園には入らない』と
思っている桃瀬の心を
どう開かせたらいいのか……
俺には全くわからなかった。
できることと言えば
俺の素直な思いを
伝えることぐらいだよな。
そう思い
俺を睨みつけたままの桃瀬に向かって
口を開いた。