入学式を終え、教室に向かう中
隣にいた一颯が話しかけてきた。
「俺、どうだった?」
「へ?」
「だからさ
俺の新入生代表挨拶は
どうだったかって聞いてんだけど」
正直言うと……
一颯がステージで話してたことさえ
覚えていなというか……
結愛さんのことが衝撃的過ぎて
一颯の声なんて
俺の耳に届いてこなかったというか……
そんなこと
目の前の一颯には言えない……
「……うん。
良かったと思うよ」
「十環さ、全然聞いてなかったの
バレバレだけど」
嘘?
バレてた?
「そんなことないって、アハハハ」
ごまかすために
かわいく笑ってみたけど
一颯には通用しないらしい。
悪魔みたいに鋭い瞳で
睨まれています……
「ステージから、しっかり見えてました。
暗い顔で
うつむいていた十環さんが」
そこまでばれていたのか……
早く、話をそらさなきゃ。
そう思っていた時
俺たちの周りを
ワサワサと女子たちが囲み始めた。