「俺、恋愛のことも悩んでますけど……

 高校に行くのも
 怖いなって思っていて」


 俺の言葉を聞いて
 目をパチパチさせた礼音さん。


「十環くんは4月から
 明虹学園に入るんでしょ?

 オシャレの授業もあるし
 楽しそうな高校じゃん」


「なんて言うか……

 どう接していいかわからなくて……

 クラスメイトとかに……」


「え?」


「俺が小学生の頃は
 みんなに嫌われないように
 いつも笑顔を振りまいてました。

 嫌なことを言われても
 『傷ついてないよ』って笑顔でごまかして。

 優等生を演じてたんです。

 でも、みんなの顔色伺って
 空気必死に読んで
 笑い続けていることに限界を感じて。

 中学に入って
 もう笑顔でいるのムリって思った瞬間に
 今度は親も、学校のみんなも
 無視するようになりました。

 人に話しかけられたくなくて
 あえて奇抜な水色の髪色にして
 話しかけるなオーラ発して。

 だから高校に入ったら
 クラスメイトとかに
 どう接したらいいんだろうって」


「十環くんのその気持ち
 俺、すっげーよくわかるよ。

 だって俺も
 高校の時、そうだったから」


 え?


 礼音さんも?