「礼音はね
お昼休みも大好きな奥さんに
会いに帰るんだよ。」
「だって、俺がいない間に
琴梨(ことり)が部屋で倒れてたら
どうするんですか?
あ、琴梨は俺の奥さんでね。
もうすぐ出産予定日なの。
陣痛って
いつ始まるかわからないって言うし。
琴梨のことがマジで心配で」
「とか言って
礼音は琴梨ちゃんに会いたいだけでしょ?」
「会いたいか会いたくないかって言ったら……
めちゃくちゃ琴梨に会いたいですよ。
だって、本当にかわいいんですもん。
今朝なんて
『お揃いの髪型がいいな』って
恥ずかしそうに言うから
右側だけ編み込みをして
お揃いのヘアピンを付けてあげました。
だから今日、俺も編み込み。
ほら、十環くんも見て、見て!
このヘアピン。
俺が高校の時に
琴梨につけてあげたお揃いのヘアピンでさ」
「そんなノロケ、聞きたくないから。
十環くん、礼音ってね
毎日俺に琴梨ちゃんのノロケ話を
聞かせてくるんだけど、どう思う?
昨日はね
琴梨ちゃんが図書館で
絵本の読み聞かせをするからって
お昼休憩に自転車飛ばして
図書館に見に行ったんだよ。
ま、毎週のことだけど。
帰ってきた後もさ
『琴梨の子供に向ける笑顔が
天使みたいにかわいかった』とか
お客さんに言っちゃっててさ
礼音のコイバナを聞いているとさ
付き合い始めのバカップルか?って
よく思っちゃうよ。俺は」
一颯の言った通り
この笑顔がさわやかな礼音さんは
とんでもなく奥さんのことが
大好きみたいだ。
羨ましいな……
俺も……
結愛さんとそんな関係になりたいな……