「それはね……

 あなたが高校生になるのを
 ずっと待っていたからよ。

 あなたが小1の時から」


 俺が小1の時から?


 待っていた?


 俺が小1って言ったら
 もう8年も前。


「覚えてないからしら? 

 私のこと。

 桃瀬写真館で
 あなたに会ったのよ」


「父さんの、写真館ですか?」


「そう。

 私ね、8年前に
 あなたのお父さんに
 写真を撮ってもらったの。

 この学園のパンフレットに
 載せる写真をね。

 十環くんは桃瀬さんの横で
 ニコニコ微笑みながらお手伝いをしていて。

 小学生ってよりは
 園服が似合いそうな
 かわいい男の子だったのよ」


 学園長は『フフフ』と微笑みながら
 話を続けた。