総長の言葉を聞いて
固まってしまった俺の口。
親に捨てられて
母さんのお兄さん夫婦に育てられたけど。
俺の人生の方が
のほほんとしている気がしてきたから
不思議。
総長の家に生まれてこなくて良かったって
心底思ったし。
そう思った時には
総長に感じていたムカムカが消え
心から伝えたい言葉が込み上げてきた。
「総長がいてくれて
本当に良かったです」
「は? なんだよ、急に」
「俺。
あの時総長に拾われてなかったら
今頃どうなっていたかわかりません。
どん底の俺をすくいあげてくれたのは
間違いなく、総長だから」
「十環~~~~~!!!」
総長……
電話越しで、泣いている??
「そんなこと言うなよ。
俺、威厳があるように見せるために
強がってるけど。
本当は、涙腺
スゲー弱いんだからな」
今まで総長が
涙を流した姿を見たことなんて
1度もない。
悲しみなんて無縁ってくらい
いつも堂々としていて
カッコいい人だったから。
でも俺は
人間の弱さみたいなものを
電話越しに見せてくれた総長のことを
今まで以上に大好きになった。