それから五年が経った。 わたしはまた待っている。 あの男を。 「悪い、遅くなった」 「遅いよ、和也」 待ってる場所は同じ場所。 だけどこれから向かうのは今まで一度も行ったことのない場所。 「遅くなってごめんね、健」 それは健の名前が刻まれた石の前。 一人じゃ怖くて、別の場所でずっと待つことしかできなかった。 でも、一人じゃないから。 怖くても進めるんだ。