自分の心臓の音が音漏れのイヤフォンのように周りに聞こえてるのではないかと心配になるくらい鮮明に聞こえてくる。



なんでそんな緊張してるかって



それは




転校生の自己紹介が迫ってるから。




私が合図したら入ってきていいから、なんて言われちゃって今は悪いことして立たさせれてる子みたいに教室の前の扉で棒立ち状態。



大丈夫。



私なら普通に出来る。



地元の友達が別れ際にかけてくれた言葉を何度も頭の中で思い返した。



"舞ならどこに行っても大丈夫"



そう言って駅のホームまだ着いてきた親友の心を胸に私は合図を送った先生の方へ足を進めた。




何度も家でイメトレを繰り返した。




なんなら家族の前で予行練習もした。



私のただ一つの願いは平穏に卒業すること。



どうかその願いが叶いますようにと想いを込めて教室の扉をあけた。