通りに車をよせた菊は、私を降ろした。 「向こうに車を置いてきますが その間に 消えることは許されない」 礼司さんみたいに 冷たい瞳を向ける菊。 こくりと頷いた私は、道路脇に体を潜めた。 もう、逃げても頼れる人はいない。