そして、その唇がゆっくりと動く


「久美」と.......ー



私の名前は呼ばないくせに 伊織さんは 女性の名前を呼んだ。

「もう行こう」っと。


「送る」っと続けた伊織さんは、私の方を見ることなく・・・


そして、その女性も私のことを見なかった




まるで、私は最初から存在していなかったように