「こちらの作業は完了したので【開】ボタンを押してもらったら開くと思います」

「あ、はいっ、わかりましたっ!」

この気持ち悪い空気からやっと抜け出せる。

ドア越しで返事をして言われた通りボタンを押そうと指を伸ばす寸前だった。

「海風」

「へっ」

ボタン押そうと伸ばした手首は、突然、大きな手に掴まって固定されてしまい。

遥琉との距離が、今日いちばん近い、と思った時には。

「……っ?!」

視界いっぱいに、瞼を閉じた遥琉。

唇には、何やら生暖かい感触。

な、なに。

これ。

……ま、まさか。

「……フッ、お手本みてぇな間抜け面」

私から身体を離した遥琉はそういうと私の横に手を伸ばして、そのままボタンを押した。

すると、すぐに扉が開いて。