「凶暴。昔から変わらないな海風。冗談なのに、すぐ手出す。それじゃモテねーよ」
「大きなお世話。ほっといて」
「……はいはい」
笑みを浮かべたような返事。
でも、遥琉はそれから話しかけてはこなかった。
ポケットに入れてたスマホを取り出して画面をひたすらいじっている。
……帰りたい。
早くここから出して欲しい。
遥琉から身体を背けて、スマホの時間を確認すればとっくに11時を過ぎていた。
ただでさえバイトで疲れるっていうのに、なんなのこの仕打ち。
シンと静まり返った密室。
気を紛らわすために、私もスマホを開いてSNSを開く。
大量の情報が一度にチェックできちゃうSNSは暇つぶしにはうってつけだ。
こんなやつと話さないで、さっさとこうしてればよかった。
緊張で完全に忘れたよ。