「30分後に救助が来るって」

「えっ?!」

しまった。
ぼーっと遥琉の成長を眺めてたら、オペレーターの人との会話全然入ってきてなかったよ。

というか……。
今、30分後って言った?!

本当に私たち、閉じ込められちゃったんだ。

生まれてからずっとこのマンションに住んでるけど、こういうことが初めてでソワソワしてしまう。

エレベーターに閉じ込められるなんて、テレビとか映画の世界でしか見たことなかったし。


「さ、30分このままってこと?」

「……そーだね」

そう言いながら下に座り込む遥琉。

そーだねって。

よく平気でいられる。

私は、ずっと、どう接していいのか分からなくて、悩んでばっかの頃もあったのに。

なんでこいつはなんでもなかったみたいにできるのよ。