「こういう時、どうしたらいいのか調べて、ます、です」

久しぶりの会話すぎて一瞬日本語を忘れてしまい語尾が変になる。

無理……。
私だけ以上に意識してるみたいじゃん。

いや、してるんだけどさ!

「調べなくても、そこの非常用ボタン押して管理会社と連絡取ればいいでしょ」

「えっ」

遥琉が指さした先を見る。
エレベーターのボタンの一番上に【非常時】という文字と一緒に電話のマークがついたボタンがあった。

うっわ、そっか。
よく見るやつじゃん。すっかり忘れてた。

「あ、あぁ……ははっ、そ〜だね〜」

引き立った笑いでそう言いながら、非常ボタンを押そうと手を伸ばすと。

「……へっ、」

横から手が伸びてきて、角張った指が非常ボタンを私より先に長押しした。

「……っ、」

一気に遥琉と距離が縮んで、心臓がさらに加速する。

小さい頃から一緒の幼なじみだけど、話さなくなって7年だし、相手は随分見た目が変わっちゃったし、

なんていうか、しっかり『男の人』に成長しちゃってるんだ。

そもそもクラスの男子にも仲の良い人が特にいるわけでもない私には男の人になんの免疫なんてないわけで。