２０〇〇年２月１０日
朝




「おはよう、たーくん」


彼女は目が覚めた男に向かってそう声をかける。
男からの返答はない。


「今日は曇り、雨が降るかもしれないんですって！洗濯物干せないわね」


ふふふと笑う彼女。


「朝ごはん、用意したからね。
たーくんの好きな出汁巻卵よ。
お昼のお弁当も横に置いておくからお腹が空いた
ら食べてね」


机の上にご飯が用意されている。
ご飯に味噌汁、お新香に卵焼き。

その横には彼女が言ったように蓋のしていないお弁当が置いている。
ラップはしているようだった。


「じゃあ、仕事に行ってくるわね」


スーツ姿の彼女は、そう言ってドアの向こうに消えた。