そばで杏が楽しんでる姿を見たいから

「私はその日、家庭教師のバイトが入ってるんで、行けません。しっかりと保護者として、頼みますよ」

新に念押しされる

えーー新おらんのー?ぶーぶーと新の周りでジタバタしている杏に、新は笑って謝っていた

そして新はふと思い出したかのように声を上げた



「皐月がお祭りの日に帰ってきます」


ん?


「皐月?誰それ」

俺も一瞬誰だと思ったけど、流石に思い出した。


「私の彼女です」

いつもの黒い微笑みではなく、新は優しく笑った

新の彼女は、皐月って名前だ
ここに住んでいたが、一年前に引っ越した。
それから遠距離で付き合ってる。

佐野皐月

俺は、佐野と呼んでいたから、名前で言われてもピンとこない


「皐月ちゃん帰ってくるんだ!どれくらいこっちに居るの?」

「どうでしょう。1週間くらいですかね?」


さらりと話す慧と新に、もういい?もういい?もう聞きたいこと聞いていい!?とうずうずしてる杏がぴょんぴょん跳ねていて、笑ってしまった

そんな杏をみて、新は笑う


「皐月と仲良くしてあげてくださいね」