廊下を懸命に見渡している私の視界に、突然窓が暗くなった

目を向けると、白衣が上から下へ流れていく!

「は!」

思わず小さな声が漏れ、窓へ近づくと地面にはさっきまで話をしていたはずの上野先生が血を流して倒れていた

「先生!!」

私がどんなに叫んでも、生徒も先生も、誰一人助けにこない

大粒の涙が頬を流れ落ち、下に走っていきたいのに身体が動かない!

「緋色―!緋色―――!!」

助けて!ここから出して。

ここは嫌!

ここだけは嫌なの!!



窓に手をついたまま、床に膝をつけて泣き続けていると、廊下から楽しそうな声が聞こえてきてゆっくり振り返った

「蒼湖」

ひ、緋色?

ゆっくり立ち上がって見ても、誰もいない…




緋色…


でも今度、声は校庭から聞こえてきて、私がまた振り返ると、緋色はそこにいた

今の緋色とは全然違う、チャラチャラしてた頃の緋色だ


私は慌てて廊下へ飛び出し、玄関を通って校庭へ向かう

緋色は仲間とまたサッカーをしている