「俺も…」

ゆっくり歩いて、碧依の正面に座った

「初めてだな、こういうところに来るの」

「そうだね!温泉に来たのが初めてじゃない?」

「そうだよ!温泉!俺、すげー楽しみにしてきたんだよ」

俺はテーブルにある、旅館の案内のパンフレットを開いた

「温泉、露天風呂入れて七種類…、え!?マジ??」

「何?何?」

俺は立ち上がってベランダへ向かった

碧依が気になって付いてきたから、俺は得意気にドアを開けて見せる

「ジャジャーン」

「ウソ!」

そう、ベランダの所に、檜造りの露天風呂が付いていたのだ!

部屋に!

俺、超感動!!

「すごい、すごい、すごーい!!」

碧依も飛び出して、お湯に手をつける

「スイート?」

「いや、多分ハイグレード」

「高いよね?」

「それが…叔母さんのおごり」

「ウソ!!!」

碧依は目を真ん丸にして驚いている

「だって、手ぶらで来ちゃったよ?」

「まあ、いいんだ。頻繁に来てる訳じゃないし」

「…緋色ってそういうところ、あるよね!身内で使えるものは使っちゃえ!みたいな…」