「少し早いけど、宿へ向かう?」

「ああ、うん。北海道にはその為に来たから!」

「観光とかはいいの?」

「あんまり…考えてなかったかも」

ちらりと碧依を見ると、碧依も同じ表情をしていた

考えてなかったな?

「碧依、どうする?どっか行く?」

「ううん、叔母様の旅館に行ってみたい。観光は後でもいいし。じっくり考えて出た方がいいんじゃない?」

「そうだな!じゃあ、叔母さん、旅館で!」

叔母さんが、旅館専用の送迎車の運転手さんに話をして宿へと向かった









宿はすごい立派で、二人で思わず顔を見渡した

かなり手入れをされた庭を通り、きれいで大きな和風の玄関をくぐる

「女将さん、おかえりなさい」

「女将さん、おかえり」

みんなが叔母さんに挨拶する様子を見て、叔母さんが社員にどんなに慕われているのか想像するのは簡単だった

「ごめんね、外に出ていて…、大丈夫だった?」

「はい。特に変わったことはありませんでした」

「そう」

にこやかな会話を社員とする叔母さんを見て、なんだか胸が暖かくなる