「何をバカな…」

親父は信じられないといった表情をババアに向ける

俺はただただ、唖然と立ち尽くすだけだった…



「緋色の部屋を片付けようと思ったとき、髪の毛を見て思い付いたんですの…

DNA鑑定を」


そう言うと、ババアが封筒を3つテーブルに出した

「上から長男、次男、そして緋色…
緋色だけが一致してないんですのよ?」

「バカな…」

「あなた、あの女に騙されたんですよ…」

「いいや、緋色は間違いなく私の子供だ!」



その言葉に、全員が親父を見つめた

「親父…」

「あなた、何をおっしゃってるの!?科学的証拠があるんですのよ?」

「何と言われても、この子は私の子供だ…」

「あなた…そうまでして…」

「この話題に触れるのは、金輪際許さん!」

親父は立ち上がるとすごい勢いでドアを閉めて出ていった…

ババアは怒りで震えながら、下唇を噛み締める

「緋色…、この家にも二度と帰らないでくださいね」

「では、二度と呼びつけないでください…」


俺も振り返ることなく屋敷を出ていったが、動揺を抑えられなくて何度も立ち止まった