「姫ちゃんって、面白いね…」
碧依が洗い物をしながら、俺に囁いた
「ホント、クールな顔してるくせに中身は体育会系だな!」
二人で台所に列びながら笑いあった
「この間、加賀美君が来たんでしょ?渡瀬君の事とか話した?」
「いや、最近会ってないんじゃないか?」
「なんだ、高校に再入学してからの話、聞きたかったのにな〜」
渡瀬は、碧依と同じ催眠療法で自分の記憶を埋め込んだ
俺の事も加賀美の事も、今は友達だと思ってくれている
やっとこの前、別の高校に転校したばかりだ
…記憶はまだ戻ってねーけど…
「あいつならどこだって平気だよ」
「そう?」
「渡瀬より、園田はどうなったんだよ?年下の彼氏は?」
「淑ちゃん!?ラブラブだよ〜!あそこのカップルは相変わらず。今度同棲するんだって〜」
「はあ、何だか周りが変わっていくな…」
「そうだね!幸せな方向にね」
嬉しそうな碧依を見て、俺も微笑んだ
懐かしい仲間がどんどん変わっていって、世界が広がる
何となく取り残されていく気分で寂しい…