「人という生き物はね、年を取る度に良くも悪くも過去にこだわるものよ…」



台所で並びながら、最近の出来事を聞いたおばあちゃんがそう言った

「それって、年を取っても取らなくても…じゃないの?」

「うふふ、そうね。でも、年を取った分記憶も多いからねぇ…」

「そうか…。それもそうだね!」

私達二人は顔を見合わせて笑った

私は週1回、鈴おばあちゃんの家に料理を習いに来ている

元々のきっかけは、旦那さんが亡くなったおばあちゃんを元気付けるために、緋色が毎週私を連れて遊びに行ってたんだけど、そこで出されるご飯の美味しいこと!!

それで私が勝手に弟子入りを志願したんだけど、緋色はすごく喜んでくれた

人は役割を持つと、活き活きするからって

私はおばあちゃんが大好きになってしまい、すっかり楽しみな日課になった

「私を憎んでいるのかな…」

「きっと、その人にとって行き場の無い気持ちがあなた逹に向かっているのよ…
羨望や興味は緋色坊っちゃんに、憎しみや怒りはあなたに…」