「俺は跡取りじゃない…俺は法学部だ」

「何だって?」

「俺はなりたいものがあるんだ。だから跡は継がねーよ」

「な、なんだって!?」

「それにお前は知らねーのか?俺の親父、今刑務所だよ。社長じゃねーし、俺も跡取りじゃないんだ。とっくの昔に」

「お前の親父も刑務所か…寒河江、あんなに輝いていたのに、お前ももうお終いだな…。お前も価値が無くなったわけだ!」

「は?何で?」

「な、何で?だと?」

「跡取りじゃなくなったら、何で俺に価値が無くなるんだ?」

「当たり前だろ?選ばれた人間じゃなくなるじゃないか!」

「誰に選ばれた人間だよ?」

「誰って…父親や、会社の人間に」

「俺、そんなものに興味なんかない。選んでもらったから価値があるなんておかしいだろ?」

「何?」

王子は相変わらず訳がわからないという表情をしていた

「まあ、確かに碧依に選んでもらった俺は価値があるな!…だけど、自分の価値は自分が決めるもんじゃねーの?俺はこの世にただ一人…それだけで、俺には価値があると思うけど?」