「緋色…」

これって…

「これが、操様名義の通帳と印鑑です…」

「…最近、こればっかりだな」

緋色はうんざりしながら目を向けた

「親父って、本当に大金隠してるの?」

「はい。今後の生活に支障なく過ごせます」

「…そんなに頼りたくないのか…」

ガックリと肩を落とす緋色に、私は話した

「親の事で、子供に心配かけたくないのよ…
自由でいて欲しいんじゃない?」

「はい、その通りです。旦那様は、自分のせいで振り回されてしまった緋色さんに、これ以上心配かけたくないんですよ…」

「…親子なのに」

「親だからこそ…ですよ」


八ツ橋さんがにっこり笑った

「それでも、何もかも失ってしまった旦那様に、ずっと家族としていてくれた緋色さんへの感謝は計り知れない、そう話してくださいました…」

「え…親父が?」

「はい」



ジーンと胸を打たれながら話を聞いていた時、ふと指が紙を触りもう一枚あることに気付いた

え?






「追伸…」