スッキリしたと笑いながら背伸びをする緋色を、やっとホッとして見ることが出来た

「さ、帰るか!俺らの家に」

「そうだね…」

私もニッコリ笑ってベンチから歩き出す





『またね』


その時突然、熱にうなされた時の、忘れてしまった夢を思い出した

あ…そうか。



お母さんの言葉を思い出して、私は何となく解ったような気がした



「緋色…」

「うん?」

「私、お母さんは、お父さんを愛していたんだと思う…」

緋色は振り返りながら、しばらくその意味が理解できなかったみたいで一瞬無表情になる

でもすぐにふっと笑みをこぼした

「昔聞いたことがあるセリフだな、ソレ」


「勝手な想像だけど、お母さんは…もし私がお母さんなら、緋色を愛していたから」

「………」

「私とお母さんは立場がよく似てる。違うのは、本当に妊娠したことと、社会人だったということだけ」

「…うん」

「お母さんは、お父さんを愛していながら反面お父さんの愛は信じられなかった。…きっと跡継ぎ欲しさだったと思ったんだ」