電車に乗って、空港に着いた時やっと緋色は話し出した



「俺、解ったんだ…」

「…何が?」

「自分の父親」

「え!?逢坂さん!?」






「いや、親父」

「本当!?」

「あの人に会えて良かった。蒼湖、あの人を見てどう思った?」

「…違和感があったよ。緋色のお父さんには見えない。雰囲気とか、顔とか」

緋色のお父さんの方が、よっぽどしっくりくる…

ちょっと怖い感じとか、何考えてるか解らなそうなところとか、背とか…

「俺もそう思った…
それにあの人、俺の顔を見ても母さんを思い出さなかった。
親父は俺の顔を見て、すぐに母さんに似てるって言ったのに…」

遠い目をする緋色を、黙って見つめた

「母さんを忘れられないくらい愛していたのは、親父の方だと思う。あの人には新しい家族だっているんだし…俺を見て、俺を必要だと言ってくれるのは親父で、俺の家族はやっぱり親父なんだ。
例え、血がつながってなくても!」

緋色はスッキリした顔で笑った

「血がつながってるかどうかなんて関係ない。俺達はお互い親子と思ってるんだから…それだけで」