いや、これは流石に考えるべきだろう。
知らなかったとはいえ、王族に対する言動として相応しくなかったはずだ。
「申し訳ありませんでした。」
「何故謝る?」
「言動が失礼だったと思われます。」
私がそう言うと、王子は黙って私の手を掴み、どこかへ歩き出した。
崩れた屋敷の側まで来て、目的地があるのか、足早に進む王子
足を止めたのは、まだ崩されていないところだった。
不意にマントを取った王子が草むらにマントを敷き、私の手を引き寄せる。
されるがままにマントの上に王子と並んで座る。
近い距離に胸が高鳴るのを抑えられない。
「ここ、見覚えあるか?」
突然そう問われ、ぼうっとする頭を必死に動かす。
「…あるような、ない、ような。」
…言ってしまえば、貴族の家ならば、どこにでもあるような綺麗な庭
王子を見れば、庭ではなく、窓ガラスの割れた屋敷の方を見ている。