ほとんど崩された屋敷を眺めながら、ジンと何でもない会話をしていた時。
ガサッと音がして振り返れば、そこには第二王子が立っていた。
「あ、主ー。遅いよー。」
「悪い、撒くのに苦労した。」
夜の闇に溶け込むためか、黒のマントをしている王子
走ってきたのか、いつもは綺麗にされている髪の毛が少し乱れていた。
「久しぶりだな、レティシア」
「お久しぶりです。」
笑みを浮かべる王子に私も自然と口角が上がる。
「じゃあ、俺はここで任務終了ってことで。」
「ああ、お疲れ。」
「えっ、」
「またね、レティシア」
さっさと帰って行くジン
あっさりしすぎだし、王子と2人にしないで欲しかった…!
ジンの背中を見えなくなるまで見ていると、王子が視界に入ってきた。
「わっ!!」
「随分ジンと仲良くなっているな。」