「それよりレティシアは誰か会いたい人とかがいるわけ?」
「あ、ううん。それはいないけど、…火事にあった屋敷が今どんな風になってるのか見たくて。」
「じゃあ、行こうか。俺ついてくよ。」
壁にもたれてた体を起こし、こっち、と私の前を歩き出す。
人の多い会場の中、ジンを見失わないように後ろをついて行った。
「わあ……、すごい。」
屋敷はほとんど崩されていて、まだ崩れてないところには、火事の時についた煤がたくさん壁についていた。
「前より大きくなるらしいよー。公爵夫人が力入ってるってキース公爵が言ってた。」
「へえー…、キース公爵ってやっぱり怖い人?」
「全然だね。むしろ舐められる感じかな。でもそうやって懐に入り込ませといて、隙ができたら、ガッといかれるよ。あの人、腹黒だから。」
そうなんだ…。
王族の次に続く階級の人だから、勝手に怖いとか横暴なのを想像していた。
……でも、よく考えたら、王族の方々も優しい人だったな。
まあ、当てはまらない人物もいたけど。