同じ方向に向かう馬車が多く見え始めると、あっという間にキース公爵家に着いた。




綺麗に着飾った人たちに紛れて、半ば流されるように会場に入った。




さすが公爵家というぐらいの煌びやかさと賑やかさだった。

あちこちで談笑する声や、跡継ぎを紹介している声が聞こえる。



そんな人たちを避けて壁際で佇む。
…毎回壁にくっついているように思うけど、まだこういう場に慣れない。


騎士として警護するのは、全然大丈夫なのだけど、参加者となると、どうして良いか分からない。





会場を眺めながら、佇んでいると、1人分あけた隣に誰かが私のように立った。



「やっほー。今日は一段と綺麗だね。」





小さめの声だったけど、その口調と軽さは知っている。

バッと隣を見れば、雰囲気の違うジンがいた。




「…何で?招待されてるの?」


「あはは、まさか。今日はレティシアの護衛」