「あ、それと、イオ様には悲報だと思いますが…。」
楽しそうな表情から困ったような表情に変わった公爵
執務室の机に座っている俺の近くに寄って、小声で言った。
「妻が主催らしいので、かわすの大変かもです。」
ご健闘を願っています。と、本当にそう思っているのかと思うぐらい楽しそうに笑い、執務室から出て行く公爵
ライラの性格は夫人譲りだろうが、公爵の腹黒さも少しは入ってると思うぞ、と憎めない後ろ姿を見ながら思う。
「ぜひ貴方にも来ていただきたくて招待状をお持ちしたの。」
たくさんの宝石が散りばめられたドレスに身を包んでいるライラ様
突然の来訪に慌てて準備して、応接間へと向かえば、以前と変わらない様子でお茶を優雅に飲んでいた。
ライラ様とは火事があった日以来だったために、その姿を見て、ただホッとした。
「今回のパーティーはお母様主催ですから、たくさんの貴族が参加しますわ。貴方、婚約者はいないのでしょう?だから、良い人をぜひ見つけてみてわ?裕福なおじさまがたくさんいらっしゃる予定よ。」
うふふと笑うライラ様
あの火事の後だからだろうか。こんな嫌がらせのような言動も、ライラ様が元気な証拠だと受け入れてる私がいる。