争いになった方が、亡くなった人たちに少しでも報いることができたのか。



ぎゅっと手を固く握りしめ、俯く私

優しい里の人たちの顔が頭の中を駆け巡る。







「…私たち、貴方のご両親に何度かお会いしたことあるの。」


優しい声で王妃様がゆっくり私に近づいて、ハンカチで私の頬を拭った。



「私たちが滞在していた屋敷がトレス家の近くでね。最初は挨拶程度だったの。…きっと、トレス家の秘密が外部の人間に漏れないように関わりを持たなかった。」




そう。
予知夢を見る力が伝わっていることは、里に住む人間しか知らない。


伝え聞いた話では、大昔に一度、外部の人間に知られたことで当時のトレス家がほぼ壊滅状態にされたと聞いている。