「まあ、お綺麗なお嬢様ね。」
「本当に、素敵なお嬢様だよ。久しぶりだね。」
緊張しながら挨拶をすると、開口一番褒められる。
恐縮でずっと小さく首を振りながら、頭を下げていると、お2人が揃って立ち上がり、私と王子がいる方へ歩き出すと、私の前で止まった。
「私の息子が本当に申し訳ないことをした。」
深々と頭を下げられる国王様に続き、王妃様も私に頭を下げられた。
「おやめくださいっ。私などにそんなことっ!」
「クロードが起こしたことは、決して小さなことではない。王族が他国の里を襲撃するなど、国同士の争いに発展し得ること。」
「…だが、クロードの件にはロベール王国の王族も関わっていたために、争いとはならなかった。」
国同士の争いにならなかったのは、私たち里の者にとって、良かったのか、そうでなかったのか。
亡くなった人たちのことを思うと、最近は消えていた、消化できない思いが湧き上がってきた。