「はい。イオ様にジョセフ殿のところに行けと命じられましたので。騎士団長さんに馬で連れて行ってもらいました。」
「…イオ様の愛馬について行けるのは、ローガンの愛馬ぐらいだもんな。」
「しゃべりすぎだ。」
少しむすっとした表情の王子は腕を組んで、椅子に座った。
…王子がジョセフさんのところに、と命じたのは偶然…、で、
そこに、手当ての必要な私が馬で、やってきて…。
…偶然、じゃない?
「あの馬は、…王子の?」
じっと見てると王子は苦笑いをした。
「イオ様の馬は賢いし、速いし、綺麗なんだよ。体調が良くなったら、お礼言ってあげたら?」
「ちょっ、ジョセフ殿」
「イオ様はこそこそに慣れすぎですよ。もう、こそこそしなくていいんですから。」
グッと押し黙った王子
…こそこそとはいったい何に対してなのだろう。
ちらっとジョセフさんを見れば、にこやかな顔で笑ってみせた。