フラフラと魂が抜けたようになっている詩織を隣に乗せ、会社の車を借りると書かれた住所へ一気に走らせる。



あのおばさんが殺された。



正直意外と言うかなんと言うか。



人の一人ぐらい殺せそうな迫力は感じたけれど、まさか事件に巻き込まれるとは……。



警察に着き、例の封筒を見せると人の良さそうな一人の刑事が握手を求めて来た。



「連絡がついて良かったです。手がかりがお母さんの残したこのメモしかなくて困っていたんですよ」



そこには、前の寮の住所のみが書かれていて……他の社員に住ませずもし会社が解約してしまっていたら、俺達はここまで来る事も無かっただろう。



これは果たして不幸中の幸いなのか、それとも不幸中の不幸なのか。