「もぉー先生子ども扱いしないでよー」
「私から見たらいつまでも子どもですよ。」
「もう先生の後輩ですよ!」
「それでも子どもです。」
「…やだ、私、先生には女に見られたい…。」
「…。
私には、欲しい人がいます。」
「好きな人…?」
「はい。
…ですがその人は別の方の隣にいるので、私の元へは来ないでしょう。」
「じゃあ、私を隣に置いてください…!」
俺は首を横に振った。
「私はもうその人でないと、満足出来ないんです。その方を…愛しているんです。」
「…っ、分かった。
もう、そんなん勝ち目ないじゃん。
先生にそんな顔させるなんて私じゃ出来ないよ。」
「ふふ、確かにそうですね。」
「ちょ、少しは否定してよー」
「こういうのは真実を言った方が後々いいのですよ。」
「ちぇー先生隙無さすぎー」
「褒め言葉をありがとう。」
「むー」
_________
「…?
…!」
「え、先生?!」
俺は後輩を残し走った。
「近!」
「あ…
た、か…」
そう言った瞬間、近の目に溜まっていた涙が零れた。
「近…。」
俺は見覚えのある顔を睨んだ。
「…約束通り、近は連れ戻す。」
「あ!待て!これは、違う…!」
嵐太は追ってこようとしていたが隣の小さい男に遮られていた。
二人で歩き近くの公園まで来た。
夜ということもあり人はいなかった。
その間ずっと、繋がった手からは振動が感じられた。
俺は近が落ち着くまで抱きしめた。
「近、今は先の事を考えられないかもしれない。
でも、これだけは忘れるな。
俺はずっと、お前の味方だ。」
「た、か…」
「今は何も考えるな。
ただ温もりを感じておけ。」
「ん…。」